On the yellow guardrail

正字正かなユーザー刑部しきみの清く正しいつつましやかなブログ

新ジャンル「クラスで自分以外邪気眼使い」

http://imihu.blog30.fc2.com/blog-entry-2791.html
自分も書いてみたwwwwwww暇な人だけ読めば良いと思うよwwwwww



放課後の教室。僕らは何をするでもなく雨の酷さについてぼやいていた。
「これで五日目だゼ、この大雨」
白と灰色の斑に髪を染めた、酷く痩せぎすの男――《白金の指示指》は窓側の机の上に座り、窓の外を見つめて、忌々しげに呟いた。
「そうね……私の訊いた神託の結果も最悪だしぃ」
《糸車の神子》はそう云いながら、開いた分厚いラテン語辞書に己の桃色に染めた髪の毛をそっと落す。そして神妙だけれども、何処か物憂い表情でご神託とやらを訊いている。よく見ると髪の毛の根本1cm程が真っ黒で、僕は何となく其処に埋められない現実を見た気がした。
「やっぱり最悪ぅー」
どうやら、何度やっても芳しい結果は出ないらしい。一体なんの神様から電波を受信しているんだろう。前から停滞前線がこの辺りにあった上に、この街から少し離れた海上に、強い勢力の台風が居座っているというのは朝から散々ニュースでやっていた。こいつらはニュースを見ないのだろうか。



雨は相変わらず窓を叩く。風も少し強くなってきたようだ。
「ん……?おい神子さんよ、あれ見てみろ」
窓の外を見ていた白金の指示指が、中世の華美な鎧を模した指輪を嵌めた人差し指で、薄暗い外を指した。
「何よぉ」
糸車の神子は、辞書を閉じて立ち上がり、窓に向かって歩を進めた。
「《ニスル・バイダ》、お前も見るんだ」
ニスル・バイダ――僕の事らしい。僕には玉井貴志という本名があるのだが、それを名乗ろうとすればよってたかって「真名が汚れる!」と叱られるので、抗議せず黙って窓の外を見るしかない。


窓の外に広がる、雨に濡れたグラウンドには特に変わった様子はない。
薄いカフェオレみたいな茶色の砂に、水溜まりが無数にできていて、200mトラックの線が砂の中に隠されて一部不明瞭になっている。それだけだ。
「何もないよ」
「何云ってるのよぉ、ニスル・バイダ……これは『式』だわ……信じられない、こんな高度な式を構築できる人間がいるなんて……これは頭痛がするはずだわぁ」
僕はもう一度、グラウンドを見る。やはり何もない。
「たまごちゃんに分かるもんか。こいつぁ眼が開いてないんだゼ。」
「それにしても、これだけ強い式が組んであるんだから、貴方にも判っていいものなのだけどぉ」
そんな事を云われても、僕には何も判らないし、見えない。
「先生呼んできた方がいいかなぁ?」
「そうだな……ダンボルクル先生が適任だろう。端末で呼んでみる」


……いや、この模様はどうみても雨で叩かれてできた偶然の産物ですから。頭痛も気圧が下がって起きた気象病。でも、説明する気にもならない。こいつ等の頭には理屈とか常識を捻じ曲げて有り余る俺様理論が構築されているんだから。
「えーと、僕帰って良いかな」
「駄目よぉ、危ないわぁ」
「うぉッ、また『式』が変化したぞ!」
「これは……大変な事になるかもしれないわねぇ……今日は泊り込みかしらぁ」
「端末で緊急呼び出ししたの――貴方達? 一体なんの騒ぎなのよね?」
教室に入ってきたのはダンボルクル先生だ。背が低くて童顔で、どうみても中学生位にしか見えないが、実は三十路らしい。不老の魔法を使っていると生徒の間では噂だが、僕はこの前、腕が良いと評判の美容整形外科から先生が出てくるのを見た。
「ダンボルクル先生! 式が!」
「むぅ……これはテンペスターデツファオを構築する式! まずいのね……結界の術符、職員室の倉庫からロールのやつ持ってきて! 窓に貼るのよね!」


……この学校馬鹿しかいねぇのか。帰りてぇ。