On the yellow guardrail

正字正かなユーザー刑部しきみの清く正しいつつましやかなブログ

『山鬘』と呼ばれる姫御前

『山鬘』と呼ばれる姫御前
蒼く薄暗い部屋に溶け込むような、苔色の上衣をゆったりと纏う白い肌と金色の髪の少女。額に絡まる草の冠のようなケーブルが、部屋の壁面を埋め尽くす棚に隙間なく詰め込まれた箱に繋がっている。その顔は苦痛に耐えるかのように険しく、瞼は硬く閉じられ、真一文字にきつく結ばれた唇はその色を失っている。何よりも異様なのは、両手があると思しき場所に、机をも貫くように突き立てられた二本の洋剣。机に広がるおびただしい量の出血は、既に殆ど乾き始めていた。

「姫御前(ひめごぜ)――まだお休みにならなくて宜しいのですか」
「高村……平気よ。もう少しで終わるわ」
誰も居ない空間から聞こえた声に、姫御前と呼ばれた少女は掠れた声で答えた。
「今日は少し件数が多いわ。何かあったの?」
「ええ。大規模な自爆テロが断続的に」
「通りで混雑している筈ね。判定して振り分ける以前のYAMAの処理が追いついて無いみたいで、此方にうまく流れてこないの。私が直接リンクしてある程度手分けすれば処理が早くなるだろうけれども、割り込みの余地がなくて。待ち時間にして休んだ方がいいかしら」



実は最初のカラーリングだと金髪に紫の服だったのですが美輪明弘カラーじゃんとか思ってやめました。