On the yellow guardrail

正字正かなユーザー刑部しきみの清く正しいつつましやかなブログ

(前略)ただ、一番重要なことは『ロドリゲスが犯人である』という事ではない。この作品は、まずロドリゲスを中心に置く事で主題を隠蔽しようと試みている。テキ屋のヌッツオがダブルギターを抱えたまま三角木馬で悶えているシーンが印象的な第三章中盤では、特に隠喩の嵐で混乱した読者の方々も多いかもしれない。ダブルギターの表面に描かれた百合の花からしとどに溢れた蜜は、いつしか大地を潤し木々を成長させ、運河になって喜びを運ぶ使者になるのだ。この点は実に重要で、作者の最も述べたかった主題に他ならない。