On the yellow guardrail

正字正かなユーザー刑部しきみの清く正しいつつましやかなブログ

16:45からの日常

終業のチャイムが鳴ると同時に、ぷつ、と集中力が切れた。三十分位残ろうかと思っていたのだが、肩が張って首が痛いのでやる気が失せた。机を片付けて、手を洗ってから更衣室へ行く。窓の無い女子更衣室は日中でも酷く暗い。制服の上着を狭いロッカーのハンガーに乱暴に引っ掛けて、私服の上着を羽織る。ふと、ロッカーの鏡に映った顔は照明の具合も手伝って酷く疲れていた。今日は現場の方に手伝って貰わなければならない程仕事量が多かった。何か不備があると困るので本当は全て自分ひとりで片付けたいのだが、納期の事を考えるとそうも云ってはいられない。弁当の入った鞄を左手に提げ、タイムカードで退社時間を打刻する。16:54、と新しく黒い文字で打刻されたタイムカードを摘んで眺めると、行儀良く定時退社の時刻ばかり並んでいる。某派遣女か。明日は無理かも知れぬが、そうなった時はそうなった時の事。下駄箱で紺色のスリッパとコンバースのスリッポンを履き替えて、歩きながら車のキーを上着のポケットから出す。キーホルダのリングに右手の指に通し、ジーンズの左ポケットの携帯を出してメールをチェックする。未読三件。一件は要返信、二件はメルマガ。歩きながらメルマガを読み、最後に返信するメールを開く。此処までで赤いミラジーノの前に着く。携帯をロックして上着のポケットに突っ込み、車のキーのUNLOCKボタンを押す。隣のSOLIOにぶつけないようにドアを開き、鞄を助手席に投げる。エンジンをかけ、流れてくるゆずの曲を中途半端にハモリだけ歌いながら、裏口から退社。