On the yellow guardrail

正字正かなユーザー刑部しきみの清く正しいつつましやかなブログ

感覚嘔吐プリセット

現実感が無い。
針で指を刺せば痛いし、廊下に出れば寒いけれど、そんな感覚は夢でも普通に体感できる。感覚なんてものはリアルでも何でもない。錯覚と警告でしかない。
生きながらバラバラにされる夢の方が余程痛いというか熱い。私は刺身です。
いつの間にか私はバーチャルの世界に移行してしまって、過去に知った五感を追憶しているだけなのではないかと思ってしまっている。「針で指を刺せば痛いのだ」とか、「火に手を翳せば暖かい」という感覚であると思い込んでいるのではないか。本当は世界に熱なんかないのかもしれない。痛覚はなくて、本当は駅のホームから電車に向かって飛び降りても死なないのかもしれない。点滅する半透明になってもう一度やり直しになって、残機が消えて、何度も繰り返すうちに本当に死んでしまって、皮膚がヌラヌラした黄緑色の醜い豚の形をした「外側の私」が舌打ちして「このゲームつまんない」って云いながら夕飯を食べにリビングへ行くのかもしれない。ざんねん! わたしの ぼうけんは ここで おわってしまった!
皆があるというから「ある」というしかない。死ぬというから「死ぬね」って云うしかない。
でも、私の脳のふわふわスフレ感は消えないし、全部疑い始めているから、そのうち私は私である事をやめる気がする。